4月は公的機関から、様々な委嘱をいただく時期です。今年度も、いくつか継続の委嘱をいただきました。
長いところは今年度で8年目という機関もあります。
新規の委嘱のお話もいただき、本当にありがたいです。今年度も1社でも多くの企業様のお役に立てるよう精進いたします。

さて今日も、私が経営の要諦を学んでいる稲盛和夫さんの講和内容からお届けします。機関誌40号(2001年4月号)より。

・「富国有徳」への道
21世紀を迎えた今日も、日本経済は苦境の中で呻吟している。日本の経済の再生にあたっても旧来の考え方と方法論がもはや通用しないことを理解している。
日本の近代史をひも解くと、約40年の周期で歴史的な節目を迎えている。1865年江戸幕府崩壊、1905年日露戦争勝利、1945年第二次世界大戦敗戦、1985年プラザ合意。2025年には、公債発行残高が1000兆円を超えているのではないか(令和3年度末時点で990兆円)、65歳以上の高齢者が人口の1/4を超え(厚労省の見通しでは30.3%)、日本の総人口も現在の1億2000万人を大幅に割り込んで行く見込み(総務省によれば、2008年の1億2,808万人をピークに減少)。※( )内はインターネットより。1945年の敗戦以来の「坂の上の雲」を追い続ける必要があるのでしょうか。限りある地球の資源、エネルギーを有効に使い、発展途上国と先進国の人々が、ひとつの惑星で共生していくことができる社会を築くためには、先進国は今まで以上の経済成長を目指さないという自粛を促すか、あるいは制約条件を課すことが必要になってくると思う。今後は、宇宙の創造主が人間に与えた「知性」に基づく良識をもって自らの欲望をコントロールし、現在の繁栄と平和を維持することが必要。
日本が21世紀においても、自国の経済的な富のみをひたすらに追求し続けることは、自然の摂理からも、日本の近代史を鑑みても難しいと思う。国家の目標を経済成長に求めるのでなく、現在の経済規模のままであっても、どうすればみんなが幸せに暮らしていけるのかという方向を模索すべきであろうと思うのです。それが「足るを知る」という考え方に立脚した経済活動へのシフトということ。
しかし、産業構造自体は次々と変わっていく、新陳代謝が健全に行われなければならない。21世紀の日本は、持てる経済力によって世界の平和と人々の幸福のために貢献しも諸外国からの尊敬と信頼を獲得していった方が良い。つまり、豊かな「富」の力を活かして、「徳」をもって報いることができるような国、「富国有徳」の国の実現。

稲盛さんの唱える40年周期説だと次の歴史的な節目は2025年です。いま世界で起きていることは、その伏線かもしれません。文中の、「限りある地球の資源、エネルギーを有効に使い、発展途上国と先進国の人々が、ひとつの惑星で共生していくことができる社会を築くためには、先進国は今まで以上の経済成長を目指さないという自粛を促すか、あるいは制約条件を課すことが必要になってくると思う」の箇所は大きな示唆に富んでいると思いました。